2020/11/06

曇り/1019hPa/体調:あんまよくない

水樹奈々さんご懐妊おめでとうございます。守るものが増えたと言うコメント、「水樹奈々くらい戦っている人物の口から放たれると、"また……強くなるのか?"みたいなニュアンスが漂ってしまって面白いな」と言う感想になりました。強い……。

鳥山明の倫理観のわかりにくさ、巨悪でもわりと放置されたり、人名が軽くてびっくりしたりするからわかりにくいんですけど「そんな事のためにドラゴンボールを使おうとして、何人もの人間を虐殺してきたレッド総帥は部下に射殺される」とか「しかし改造人間はっちゃんはただのいい子と言う話にするんだよな」と言う辺りと、ラストあたりの倫理観は別に変わってないと思うんですよね。下ネタが多い序盤でもブスとかデブとかバカとかは時代を考えるとびっくりするくらい少ないと言うの、「本人の努力次第でもどうにもならない事を悪口にするの、たぶん鳥山明は好きじゃないんだと思う」みたいに思うし、現代でのドラゴンボールのコンテンツ方向考えるとたぶんあってるんですよね。

鳥山明はおそらく誰か一人に責任を負わせることもあんまり好きではないと思うし、努力しない当事者みたいな人が好きではないし、無意味に人を傷つけるような人が好きではないあたりは、一貫性を感じるんですよね。でもたぶん善人が悪人に苦しめられて悲鳴をあげる瞬間とか好きですよ。

(こう言う「ちょっと倫理観がわかりにくいが、本人の中では一貫している主人公」とか「悪い悪役は本当に悪いので、あんまり背景にドラマを求められない」とかの作劇ニュアンスを色濃く引き継いだジャンプ漫画はたぶんONE PIECEだと思うんですけど、むしろ世間ではドラマの比重の要素で対比されがちなんですよね)(あと尾田先生が人間の尊厳踏みにじるの、フリーザやセルの尊厳の踏みにじり方思い出しません?)

読んだ。

鏡はな『時間』KAエスマ文庫作品。公式サイト。正直、このレーベルは「そんなにビジュアルのインパクトの強い絵はない、はっきりと言えば京都アニメーションで映像化した時にパンチがない話は、あんまり書籍化しないのかな」みたいな印象だったので、予想外に地味な話が来て驚いたし、内容的にも面白かった。主人公の設定が文化人類学者と言うのが珍しいし、その「文化人類学に打ちこむあまり、婚約者との恋愛以外、マジに外部との接点がない人生だった」感がよく書けているんですよね。かなりダメな人なんですけど、悪いところが経験不足しかない。常識が欠けているところにしても、常識を学ぶ場面の少なさを理解できる。そんな主人公と一緒に生きていてくれる婚約者が、謎の物体に触れたことにより、記憶の欠如が置き始める。その謎を解き明かすと言う要素もあるんですが、展開は全体的に薄い。なんでかと言うと婚約者に起きていた現象はタイトル通りの『時間』に関する問題であり、関係性が大きく変わるからです。その先のイベントをかなり丁寧に一つ一つ処理する事で、ドラマ的なカタルシスを犠牲に、人間の良さをひたすら書いたような作品だった。島くんが抜群にいいやつですよね。むちゃくちゃ綺麗な『秘密』(東野圭吾の。なんでこれを楽しめるかどうかは、毒抜きした『秘密』を読んで楽しめるか読者ですか? みたいなところあります)みたいな小説だったな……。

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