2021/05/05

雨/1010hPa/体調:よい

昨日の段階では今日は突然気温が上がって22℃お前らは死ぬみたいな話だったんですけど、実際には雨天で全然気温が上がらないし気温も低い、結果として引きこもりしているなら一番楽な天気だったまでありました。

観た。

『Rush』なんか謎のクソダサ邦題がついていますが、それは無視した方が映画の本質がわかりやすい映画でした。

「対象的なキャラクターでありながらも友人であったハントとニキは違うチームでワールドチャンプの座を争った。しかしニキは雨の日にサーキットでの事故で一時前線を離脱するも、大きな火傷の痕を残したままカムバックする。その後、僅差でハントがワールドチャンプとなった」と言う筋書きだけで凄いドラマ感じちゃうでしょ。この話は全部事実なんだぜ? 僕が生まれる前の話なんで、僕も伝記でしか知らないんですけどね。

さて。物語の主人公であるニキ・ラウダですが、彼は実在の人物です。この映画は彼の伝記映画と言う体で作られています。ライバルであるジェームス・ハントももちろん実在。この映画最大の嘘は、この二人の初期の関係性となるでしょう。映画中ではまるで始めてあったときからソリの合わない実力伯仲のライバルという感じですが、現実の彼らは一時期アパートで同居していたくらいに仲が良かったという話があります。

また舞台となる1976年前後のこの二人の関係性も、実は全然良好でして、ハントが勝利したニキを祝うためにフェラーリのピットを訪れて二人ではしゃいでいたなんてのも、映像としてバッチリ残っているはずです。

と言う現実を無視すれば、この映画は実によく出来た「ドキュメンタリードラマ」です。ハントがなかなかスポンサーを見つけられず苦労した逸話、ニキの実業家としての側面なども取材に基づいていてよく描かれ、彼らの趣味嗜好などもきちんと反映されております。

ニキ・ラウダ本人がまだ存命の頃にクランクアップされた作品ですので、ニキ・ラウダは「ハリウッドナイズされていなくて、わりと記憶のまま」みたいな感想を言ったと言う記事もあるんですが、これはどのくらい本気の言葉なのか今となってはわかんないですね。

過剰すぎない演出がいい味を出しているというのは間違いなく「妙に細かく自分の心理を大声で説明する」みたいなシーンは全然ないんですよね。天才肌のスーパースターであるハントが理性的にコースを覚えているシーン、コンピューターとあだ名されたニキ・ラウダが感覚的に車の不調を察するシーン、そう言う「似た者同士、でも対照的」みたいな描写も良く出来てます。

そもそも現実でのニキ・ラウダのカムバックがF1史上に残る、あまりにも印象的な事件であり(本当にこの人、400℃の炎に1分も焼かれて肺も痛めたのに、40日くらいでレースに復帰したんですよ……)、よけいな装飾をしなくてもドラマとしてきちんと成立するんですよね。

全体的に粗という場面も妙に不自然な日本人くらいしかなく、最初から最後まで満足の高い映画でした。ただしドキュメンタリー映画ではなく、事実と同じ年代と事実と同じレース結果を採用して作った、物静かで情熱的なドラマ映画として。と言う感じ。間違いなく傑作なんで、見て損はないです。むしろ凄いお勧め(ただし史実でない)

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