2020/10/04

曇り/10015→1007hPa、なおも低下中/体調:悪くはなかった感じ

観た。

『キラメイジャー』がパワーアップ回だったのですが、そこでいい出した事が『限界を超えない』だったんですよね。《限界は超えないためにある》。正論です、当たり前とも言えます。限界を設定すると言うのは、それ以上をやると身体に負担がかかるからだもんな……。と言うところでは収まらない話の出し方だったので、触れます。
大切なのは『キラメイジャー』のパワーアップはとても設定に即したものであって、考えてみればこの切り口であることが物語として正しかった事だと思います。

『キラメイジャー』は宇宙からの侵略者によって滅ぼされた王国のお姫様が地球に亡命、地球も同じ侵略者に狙われているのをキラメイジャーが撃退していく。と言うのが基本的な設定です。キラメイジャーと言うチームは地球防衛の専門家ではなく、eスポーツ選手、俳優、陸上選手、医師、そして普通の高校生と言う素人集団です。
キラメイジャーはそれぞれの分野ではプロであり、戦隊ヒーロー以外の職業で活躍している、そのため「戦闘には代役ロボである代役ンに向かってもらい、本人は外せない仕事や大会に参加する」と言う展開が許されると言う方針があります。これは彼らのパワーソースがそれぞれの煌めき、個性に由来することに強く影響しており、キラメイジャーと言うチームは個性を殺してしまっては機能しないと言う事情も影響しています。戦闘にも本職のイメージからくる能力が活躍するので、絵的にも納得力が高い設定です。

ただリーダーである充瑠は「特技は絵である高校生」でしかありません。彼は強いからリーダーなのではなく、どちらかと言えば気配りがうまいしアイデアマンなのでリーダーと言う人物です。彼の能力は「例えば変形合体を思いつけば充瑠はそれを絵に出来る事(神絵師!)」であり、それを参考にしてキラメイジャーは武器を変形させたりロボットが合体したりします。
そして充瑠は肉体的には別に強くないのです。特訓回でも特訓によって強くなるという事もなく、むしろオーバートレーニングで調子を崩した後に結局アイデア勝利。そこで「これでいいんだ!」「強くないのも個性だから」となるのがキラメイジャーと言うチームのカラーと言っていいでしょう。

この様な充瑠と言う人物、そしてキラメイジャーと言うチームが「敵は体が崩壊するようなやり方で強引にパワーアップしてきた、このままでは勝てない」と言う展開に対して、単純に限界を超えてそれ以上に強くなるという解決手段を選ぶのは、確かにだいぶ変な展開になってしまいます。それは設定に反するんですよね。ヒーローが限界を超えるのは当たり前なので僕も全然気がつかなかったのですが、そもそもとくに充瑠に限界を超える意味があるのかと言うと「ない」んですよね。なにせそもそもキラメイジャーは全員充瑠より強い。
キラメイジャーと言うチームのカラーを考える限りでは、限界を超えて頑張るよりは、他に手段を探す方が確かにずっと「らしい」です。ワートリの三雲隊みたいな話ですね。

結果として充瑠が取った方針は「キラメイジャーは限界を超えない、パワーアップするためのパワーソースで無理にパワーアップした相手が、死んでしまった前例もある」「しかし急いでパワーアップする必要はあるので力は借りる」「パワーアップの効果時間は有限とし、チーム5人でそれを共有・分担する」「さらにもともと強いシルバーはそのままで、フォローに回る」みたいな感じだったんですよ。確かに令和における現代的な現場の回し方っぽいです。なにせ公式ブログにも『リスクヘッジはバッチリ』と書かれています。それ以上に単純に「キラメイジャーと言うチームが選ぶ方針」としてとても説得力があるもので、これが物語の力だと唸らされるものでした。

わりと「能力がないタイプのヒーロー」はたくさん見るのですが、たいていはそう言うヒーローも『限界を超え、リスクを取って勝利をもぎ取る』と言う正統派のヒロイズムが多いですよね。その中で「リスクは避ける!」を方針として貫けるリーダー充瑠と言う切り口。限界を超えても誰も気にしなかったくらいだと思うのですが、そうしなかった。いつかは彼もリスクを取って本当の無茶をする時があるかもしれませんが、それは重い決断として視聴者の目に映るでしょうね。

なおTwitterでは昨年の戦隊ヒーロー『リュウソウジャー』では真逆、「限界を超える!」が口癖であるコウがまさに限界を超えてパワーアップする作品であった事でわりと沸いてました。
が、これは別に『キラメイジャー』が『リュウソウジャー』を否定しているとかではなく、全く別の切り口を扱っている作品だから別の話をしているだけです。ヒーロー性が違いすぎるんですよね。
『リュウソウジャー』は設定と舞台はシリアスであり、展開されるドラマもどちらかと言えば悲壮なものでした。主人公たちは6500万年前から存在する普通の人間とは違う存在であるリュウソウ族であり、1話目で主人公たちの仲間はほとんど虐殺されており、パワーアップ回も「ようやく仲間になったライバルが、その翌週には突然殺されてしまう、その力を継承する」と言うやり方です。最終回には戦っていた敵の正体は世界の創造者であり、主人公たちリュウソウ族も彼によって創り出された存在である。まさに自分たちの過去を覆す物語であり、それを覆すには想定の先に進む、限界を超えるしかないと言う物語には説得力がある内容だったと考えていいと思います。

『仮面ライダーセイバー』5話。公式ブログも話の説明に苦労していそう。https://www.kamen-rider-official.com/saber/6、5話の段階でこの人物関係図が必要で、来週さらにライダーが増える。1話目から「絵は好みなのだが、情報がごちゃごちゃして整理がついていない」状態がずっと続いているんですよね。飛羽真と倫太郎に対する好感度はかなり高くて、この二人がメインとなって、毎回ゲストと適度に絡むくらいのエピソードをこなすところが見たいという感想になってしまう。一方で妙に鬱陶しいキャラも多くて、どうも困ってしまう。ちょっと1クールが終わってもこのくらいの話が続くようだったら、見るのやめちゃうかも。

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