2022/09/12

晴れ/1015hPa/体調:

外出したのでちょっと疲れてしまった。人間の集団に交じるのに性格が不向きすぎて人間とたくさん触れ合うと疲弊する。でも今日疲れ切ったのは『三月は深き紅の淵を』を読んだせいだよ。

読んだ、観た。

『RWBY氷雪帝国』11話。

「ネガワイスはそもそもワイスの願望や真相意識由来の存在である」から「ネガブレイクと敵対した場合、ネガワイスは願望満たすために、友人であるブレイクへの本音を喋り理性を獲得していく」はバグ利用ロジックの醍醐味感が出ていてかなり好き。ようやくヤンの本気モードも表現されたし、ルビーのセレブレンスの高速移動も見てて楽しい。「アクションは演出」がすごく良く出来てる。やっぱワイスの魔法陣展開は超好き。僕は氷魔法の使い手が威力よりも応用力で敵を追い詰めるの大好き。

なんか11話が無茶苦茶良かったので中盤のスローペースも全部許しちゃうな。ワイスのキュートさがここにきてお出しされるの、チームメイトへの警戒心が消失したからと言う表現だろうし。そう思うと素直にかわいい。

恩田陸『三月は深き紅の淵を』

エライものを読んでしまった。あまり恩田陸作品を読んだいなかった人間がこんなものを読んでしまってよかったのか? 4章構成の連作ミステリで、1章はかなり読み味のいい短編ミステリだったので油断して読み進めて度肝を抜かれてしまった。直木賞作家恩田陸のベストとしてこの作品の名前を出す読者が多いのも納得が行く。そしてメフィストでの連載作品だった事には納得しかない。

収録されている作品はいずれも作中作である小説『三月は深き紅の淵を』にまつわる物語になる。その関わり方がどれも違うし、おそらく『三月は深き紅の淵を』の作者はすべての章で違う人間である。それにも関わらず誰もが『三月は深き紅の淵を』に魅せられる。読み進めるほどに物語は人の内側に入り幻想味を増やしていく。

短編として一番おもしろかったのは第二章『出雲夜想曲』で、これは『三月は深き紅の淵を』の正体を突き止めるために行動を起こした二人の女性編集者を描いたもので、ビブリオミステリの類に分類されると思う。もし全部は読めないと思っても、ここだけ読んでほしい気持ちがあるくらいによかった。

正直、かなりの奇書だと思うんですよね。最後の『回転木馬』が放つ奇想だけでそうなっているのではなく。最初から最後まで「小説を語るために小説」でその中心に「実在しない、幻想のような一冊」を漂わせ続ける。読者は最後までそれを「作者が望んだだけしか与えられない」。読者が望むだけ読める『三月は深き紅の淵を』はこの世に存在しない……。

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