2020/03/01

曇り時々晴れ/1017hPa/体調:午前中は頭痛に悩んだ

パンケーキ食べて映画見てきました。パンケーキも美味しかったし映画もよかったので大満足。
さすがに人がちょっと少ないですね。映画の日で日曜日だったのに、秋田だと劇場、ガラガラという印象ですらあった。

『1917』

本編は主にスコフィールドと言うイギリスの上等兵の物語です。前線への伝令の指令をうけた彼を、カメラが写し続ける。言ってしまうと本当にそれだけの作品でもある。
実は話の筋にはそんなに期待しないで見たんですが、とてもよくて泣きそうになってしまいました。極限の状態、例えば戦争だとかであっても、人が人の心を失わない。そういう物語はありきたりなんですけど、やはり強いんですよね。

正直映像としてはワンカット編集であることよりも、時々不意にFPSやTPSみたいな画面で実写の戦争していることの方が面白いかったの、ちょっとあります。ワンカット編集は映像の面白さにはそれ程貢献してないんですよね。この点だけをトピックにするなら『バードマン』の方が良かったと言う気持ちもある。じゃあなんでワンカットであることをやたら強調してるのかと思ったんですよね。おそらくそれは、スコフィールドと言う一人の人間が2時間ちょっとの映画の中で(映画はずっと一つの事件を扱っているのですが)の気持ちの移り変わりを連続して捉え続ける話だからなんですよね。この編集の動きで気持ちや行動が連続していたように感じました。映画のメインテーマがスコフィールドと言う人物の人間そのもので、それを表現するための方法としてのワンカット編集だったんでは? と言う感じ。

僕はこの映画、かなり気に入っているんですよね。戦争映画で「悪」と感じる人間がいない話、珍しいと思うし、そこが良かった。人間の善性や理性に対する期待を強く感じる。こういう作品があり続けるだけで、世の中がよく思えてくる。きれいな感じにまとめると「人の善性」をカメラが写し続ける話なんではないかな。

読んだ、観た。

武田綾乃『響け!ユーフォニアム 立華高校マーチングバンド部へようこそ!』(上・下)傑作。響け!ユーフォニアムの外伝小説にあたります。ユーフォ主人公の黄前久美子の中学生時代の同級生、佐々木梓を主人公に、彼女の進学先である「吹奏楽コンクールなら関西常連、マーチングバンドコンクールなら全国常連」と言うレベルの学校である六華高校でのマーチングバンド部での一年を描いたスポ根小説です。
ユーフォシリーズに親しんでいる人なら黄前久美子が自覚のない怪物でエゲツない人たらしでそのわり自己評価が低い、語り手としては安定感はあるけど信頼はできないみたいな認識はあると思うんですよ。佐々木梓はそうじゃないんですよ。こいつは自覚のある怪物で能動的人たらしで距離感がおかしい。自己評価は努力すればナンバーワンになれるって無邪気に信じて実際にナンバーワンになれるんだけど、その過程となる努力の量が常軌を逸している。さらに音楽以外への興味の感度が久美子より低い。安定感がなく信頼もできない語り手。作者は典型的なスポ根の主人公という認識で書いたらしいんですが、読んでいて「なんだこいつどうしよう」と言う気分になる。周囲が怯えている理由に思い当たってないですからね……。佐々木梓にはまず人間は壊れるものという知識を与えないと、いつか破滅するぞ。
そういう人間を主人公にして、エンタメとしてどう制御するのかなみたいな不安を序盤で感じたんですけど、面白いんですよ。無軌道な情熱でとかではなく、完全に作者の計算と制御に基づいた設計の勝利の面白さ。人物配置、エピソードの使い方、ストーリー構成、何一つ無駄がない。凄い。
あとユーフォ本編よりだいぶ百合チックでもあります。

『仮面ライダーゼロワン』25話。半分くらい総集編。ゼロワンは設定がかなり凝っていて、どういう話なのかわかりにくいところはあるし、ここしばらくお仕事五番勝負でどういう話か忘れそうになっているし、ありだよなーと言う感じ。小綺麗にまとまった設定の整理、新情報の開示から新ストーリーにつながるアクションと、見どころのある回でした。良かった。……この直後にまたお仕事五番勝負するの?! しかも人の命がかかっているテーマで!?

リュウソウが最終的にめちゃくちゃによかった戦隊になりましたね。「愚かな存在でも、倫理や知性はあとから身につければいい」「野蛮だからこそ自省は必要なんだ」みたいな事をちゃんと提示して、シリアスからコメディに流れこむ結末。自分の武器を心得ているやつは強いですね。

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