2020/03/03

ところにより曇り/1024hPa/体調:よい

今日の僕ヤバかなり好きで、なにが良いかって「身長の話はデリケート」と気にする市川ですよ。市川はダークサイドの誘惑に囚われているタイプの中二病なのに「カッコいいから人を傷つけるようなセリフを言う」とはならなくて、「相手にとってはデリケートな話題かもしれないから、なんて言おう」と悩んでくれる。好感度が跳ね上がる描写ですよね。市川はちゃんと「こんな事を言ったら相手はイヤだろうな」って言う想像力が働くタイプ。

桜井のりお先生は「こんな事を言ってくれる男の子がいたら、山田だってドキドキしちゃうよな……」と言うエミュレートがうまい。とは言え、ネットミームとしてのビッチさんを心の中だけとは使っちゃうあたりはまあ中学生だよね。たぶんこれはいかにも中学生が好きそうなエロネタだから意図的に使っていると思うんですよね。ロロッロを少々読んだ上での推測ですけど、桜井のりお先生はそういう事をきっちりわかっている上で、キャラが使う言葉を考えていると思う。

デリカシーがない言えば、ポケモン剣盾でビートくんがフェアリータイプのジムリーダーになる事を「メス堕ち」と表現してしまうような文化は滅んでしまえと思いますよ。こう言う記述を見かけると「やっぱり世間的には、男がかわいいものを好きというのは、おかしいという認識なのだ」と痛感させられます。今日これを見かけて落ちこんで、その話をするのか迷ってたんですけど、市川がいいヤツと言う話がRTされて「みんなそう思うんだ」と嬉しかったので、対比としてこういう話もしておいていいよね。こういう事が支部に書かれてしまう間は、僕らは市川にはなれないんだ……。

読んだ。

植芝理一『大蜘蛛ちゃんフラッシュバック』5巻。植芝理一さんの価値観はものすごく独特で、この人デビューした頃にはもうほぼほぼ今の作風そのままだったんですよね。最初の頃からもうジェンダーなどを見つめる視点はかなり前にあって、同性愛とかを描くにはちょっと照れを感じるくらいだったと思います。いくつかの表現については時代が追いついてきたと言うタイプの天才。なのでこれ読んでから感想をTwitter検索してみたんですけど、新規の読者が「こんなに普通に同性愛者が出てくるなんて~」みたいな事を言っていて「この人は20世紀の頃からこんなんですよ」って顔になりました。フェチ性もブレなくて、結果として今では「古いんだか新しいんだか混乱するエピソードの作り方」っぽくなってますね。この漫画にいまだにブルマが登場する理由、作者が好きだからと言う以外に理由がない! スマホが出てこないとかアナログ原稿なのも、時代をどうこうではなく、作者がそういう人だからっぽいんですよね。ここまで自分をさらけ出す作風、あんまりいない気がする……。

ひのひまり『四つ子ぐらし』角川つばさ文庫無料読み放題キャンペーンに乗っかって読みました。児童小説は独特の読み味のあるジャンルで、たまに読むのですが(言葉の輪郭が一般小説とは違うんですよね。一冊あたりの長さも違うからライトノベルともテンポがだいぶ違う)、これはけっこう面白いです。親がなく施設で育った少女、三風。春から中学生になる彼女はボランティア団体からの提案で、自立を促す共同生活計画に参加する。そこで出会ったのは自分と同じ顔と境遇、しかしまるで異なる個性の少女三人。実の姉妹だという彼女たちとの家族四人ぐらしが始まると言う感じの筋書き。タッチにシリアス感はあんまりないんですけど、内容はそうでもない。状況がハードだし、姉妹の性格が完全に噛み合うわけでもない。気を使う性格(環境のせいでそうなったという猫写がある)三風の視点で描かれているのもあって、日常シーンにもちょっと緊張感が漂いがちですらある。ジャンルとしては不幸少女が寄り添い合って境遇を良くするタイプの話です。

ひのひまり『四つ子ぐらし2』わりとひどい話じゃん! 好き!!!!!! 一花のキャラ造形は最近の流行を取り入れていると思ってたんですけど、思った以上にそんな感じでした。心理描写はきちんとトラウマを踏まえたもの(ひどい日本語だな)になっているので質感がいいです。末っ子四月が喋り始めたら好きなキャラでしたね。僕っ娘メガネハーフアップ探偵キャラという書き手の愛を一身に集めている感がある造形。ちゃんと不幸な境遇もセットされてるよ!(全員がそれなりに問題を抱えているの、物語的必然というよりは作者の性癖ですよね)三風が視点人物にしては珍しいくらいの自信レスキャラなのがいい感じ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました