2020/03/19

晴れ/996hPa/体調:悪い

典型的な低気圧的な悪さ、うつ症状よりも不安が強い。季節うつの傾向ですね。

読んだ。

高橋留美子『らんま1/2』全36巻。すごく読み応えのある漫画ですね。原作を読み返すの何十年ぶりって感じなんですけど、新鮮な驚きのある体験でした。まず当たり前なんですけど、むちゃんこ面白いんですよ。基本的にはどたばた日常ラブコメの路線で、うる星やつらの応用ではあるんですが、よく毎週この密度のネタで描けるなと言う。キャラのネーミングひとつとっても基礎教養を感じずにはいられない。やっていることの幅も広くて、長いのを続けて読んでいて飽きが来ない。
書かれた時代がドラゴンボールと同時期なので、中国拳法モチーフの主人公が格闘する下ネタありのコメディと言うのは「時代」ですね。あとエロの基準が女の子のおっぱい出ていればOKと言う感じなんですよね。これは描かれた時代の風潮ではあると思います。今だと女の子の乳首は描けない代わりに、表情や姿勢で攻めるんで、どうしてもやっている事が下品なんですけど、そういう所が全然なくて逆にびっくりしちゃった。20世紀と21世紀ではエロのコードが全然違うんだ。
主人公が好感が持てるカッコいい男の子というのも、ちょっと先進的な気がします。乱馬、乱暴なんですけど奥手で(そして煮えきらないので揉める!)すし、馬鹿ではあるんですけど、ギャグ漫画の主人公にしては賢いくらいじゃない? 登場人物全体的に好感度高いです。エロ担当の久能先輩やハッピーもそこまでヒドく……いや、ハッピーはひどいな。レギュラーでは一人だけヒドすぎて別の作品から湧いてきている感じまであるな……。
印象的だったのが、ツッコミとかの台詞ですね。ギャグ漫画のツッコミとはなにかと言うと「読者もおかしいと思うところを台詞とする」なんですよね。これ、下手するとスゴく乱暴な表現になってしまう。馬鹿な事をするキャラにどの程度の罵声を浴びせるかみたいなところ、あるじゃないですか。乱馬で出てくる罵声「バカ」「変態」「オカマ」「ずんどう(これは乱馬があかねに言うだけしか出てこないはず)」あたりくらいなんですよね。今読んでコンプライアンス的に大いに問題がある表現、多くないんですよね。身体的特徴を直接的に扱っている作品なのにな……? と、だいぶ考え込んでしまいました。
このあたり、作者の人間性と言うかなんと言うか。高橋留美子先生が倫理的な人間という話ではないんですよ。ただ「マジに言ってはいけない言動」「マジに許されない行為」はきちんと察している感じがある。たぶん性格が理性的なんだろうなと思います。エピソードづくりもそんな気配ありますし。理性的な人間だから理性から逸脱した行為を正しくギャグとして扱えているんだろうなって言う。こういう視点が20世紀にある事、凄い事なんですよね。
一番の特徴としては「キャラクター表現が優れている作品」だと思います。読むと声優の声が自然と再生されちゃうの、もちろんアニメによる刷り込みの大きさが為せる技なんですけど、ここまでくっきり聞こえてくるのは漫画によるキャラクター表現の技術ですよ。どういうニュアンスの台詞なのかとか、迷う所、引っかかる所全然ないんです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました