2021/06/13

晴れ/1010hPa/体調:すごく寝てしまった

ゼンカイジャーがとてもロックな回でしたね。過去の戦隊の力を借りて戦う戦隊であるゼンカイジャー。その中で『昭和レトロ』をベースにした「漠然とした、懐かしく良かった過去」へと世界を巻き戻す敵。

『引っ越し直後で孤独を感じている少年が昭和の町で「もうイヤだ、元の場所に帰りたい」と叫ぶ』と言うシーンがとても象徴的。そう別に昭和レトロはすでに懐かしい場所ではない。あれは「一種のファンタジー」として受けてるところがあるんですよね。これを「そもそも意図的にレトロなデザインを取り入れているゼンカイジャー」と言う番組内で描くのは、挑戦的な切り口です。

「世界を昭和レトロに覆い尽くす悪役」を描いた名作映画は存在しまして『クレヨンしんちゃん モーレツ! オトナ帝国の逆襲』がそれです。

そもそもしんちゃんと言うキャラクターは「昭和のおっさんみたいなセクハラをしてくる幼稚園児」と言うジョークで、彼が世に受け入れられた頃にはもう「こいつの言動は幼稚園児だから冗談ですまされるだけだ。こいつが大人だったらシャレになってない」と言うのが共通の認識として存在しているはずです。

そのしんちゃんが「大人になりたい」「だから昭和の世界を拒否する」のが『モーレツ! オトナ帝国の逆襲』なのですが、一方で「昔がよかった」はほとんど否定されません。居心地がよいものとして描かれ続ける。

ところがゼンカイジャーは「みんな昔がよかったとは思うなよ!」とキレてくれる。そうなんだよ。僕は昭和になんか戻りたくない。それは技術とかインフラとかの意味もあるけど、一番変わったのが倫理だからなんですよね。

スーパー戦隊、ここ三作はけっこう倫理の時代的な変化を意識していると思うんですよね。リュウソウジャーは過去の確執などを乗り越えて人と友人となる話でしたし、今作ゼンカイジャーも過去の能力を扱いながらも過去の当たり前に囚われないための物語であるように感じています。そして昨年のキラメイジャーは本当に徹頭徹尾「令和の人間からみてちゃんとしている人たちの集まり」だけでやりきるファインプレーでしたしね……。

露骨に「レトロをギャグとしてだけ消費し、レトロが好きではないのでとっとと未来に行く」をやってくれたゼンカイジャー、痛快でよかった。ありがとうと言いたい……。

観た。

『仮面ライダーセイバー』39話。一方で平成レガシーにすっかり囚われているのがセイバーかなみたいな気持ちはけっこうある。賢人が戻ってくる重要シーン、桃太郎に任せてよかったのか……? と言うか賢人くんが剣斬より先に合流してしまったのはやはり構成ミスではと思う。ここで彼が合流しても「戦闘で一度くらい活躍したがいなくても良かったな……」と言う気持ちになる展開しかない(すでにマスターロゴスとメギド一人しか敵が残っていないので、誰をどうやっつけようと「まあユーリや尾上さんでもよかったよな」となってしまう)、逆に賢人の合流の前なら「自分が賢人くんを説得します」展開をやれる動機のあるポジションのキャラで貢献が期待できたわけで、物語への貢献は露骨に後者の方が大きい……。本編の感想がないのは別に本編は全員合流したシーン以外は別に進捗がないからです。

『SSSS.DYNAZENON』11話。

「果たせぬ願いって、なに?」怪獣優生思想の人たち、とくにムジナさんあたりになにしてあげられるんだろうなと思わされたので偉い。日常が戻り怪獣が去り『今』が終わってしまった事を突きつけられる回。想像もしていなかった「怪獣がいなくなった未来」、暦は就職活動を始め、ちせは学校の前でうずくまり、夢芽はカナの墓参りをし、蓬は告白を試み、ガウマは死に戻っていく。

解き明かされない謎、事件が終わった今のほうがよほど辛そうな登場人物たち。蓬の告白が真剣だけど楽しそうではなく、青春は『今の悩み』だから苦しいものだったのを思い出させられる。

SSSS.GRIDMANから期待したような爽快な謎めいた世界の解決のカタルシスではなく、露骨に『今悩んでる、息苦しいし憂鬱』に向き合うのがこの話だったのを象徴している印象のある回でした。ここからラストどうやって「決着をつける」のかはわかんないんですよね。こんなに終わってみないと感想が言えない作品になるとは思ってなかったな……。

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