2020/10/29

雨/1018hPa/体調:普通、ちょっと疲れ気味かも

仕事が立て込んでて、ちょっと疲れてマットレスに顔をうずめて眠っていたら、姉に「海人ー! 私がコーヒーこぼしたから廊下を拭いておいてね」って言われて目を覚ましたと言うイベントがありまして、リアル姉、こんなものだよフォロワー! みたいな気持ちです。

読んだ。

橘悠馬『典薬寮の魔女』。KAエスマ文庫から出ていた「薬殺阻止ミステリー」と言う帯の作品。舞台は平安日本を模したなんか別の場所っぽいです。公式サイトが用意されているので、そちらを見るとわかりやすいかな。
薬殺阻止ミステリーと言う言葉から想像する流れは、宮廷のあちこちを探ったり、典薬寮と言う舞台柄、薬師としての知識を駆使してみたいな方向かなーと想像すると思うのですがわりと全然そういうノリではなかった。薬殺に関わる薬物はずばり附子(トリカブト)くらいで、これに関する薬物的な特別な知識などは出てこないまであるんですよ。だから結果として描かれているのは、薬殺と言う手段によってなにを狙うのかの動機当て、その過程で起きる政治的な事件が主という感じ。宣伝とだいぶ方向性が違う。わりと楽しんで読んではいたんですが、困ったことにものすごく荒削りで、かつ「尖っている」タイプの作品でもないので、褒める所あんまりないです。
後半は素直に面白かったんですけど「平安ものでわざわざ茣蓙を敷物と解説している小説、初めて読んだな」とか「方違をわざわざ説明しているの、どこ向けなのかな……そう言うのが出てくる割に着物とかのイメージが弱いの、もしかして作者は平安に詳しくないのでは?」とかみたいなところがかなり引っかかるので、前半読むのにかなり苦労しちゃったんですよね。あとはキャラ立てがかなり極端に弱い欠点があります。キャラの凄さを伝えてくるのがかなり後半なんですよね。これも前半の読みにくさにかなり影響している。例えば冒頭、主人公である飛簾が「これは強いバトルキャラなんですよ」と言うのがかなり強調されるのですが、実際に武力を行使するのは200ページ以上読み進めてからなんですよね。ミステリを謳っている作品は序盤に探偵役のエキセントリックさと、その優秀さを描くのがわりと基本なのですが、探偵役である雪代にもそういう要素があんまりない。
一方で絵はかなり強く、作中描かれる場面場面は「これは映える」と言う感じがあります。なので「平安! 美少年が仕える町娘出身の天才少女! 宮廷を襲う陰謀!」と言う雰囲気が好きならと言う程度で、正直ミステリクラスタにはお勧めしない感じ。この本が刊行した時期あたり、出来の良い平安ミステリが複数出版されているのも間が悪い感じがしますね。

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