2021/05/14

曇り/1020hPa/体調:良くはない

身内と言ってもいい範囲のところに、実際にそういう人がいる、予想できないでしょ。
しかもこれ「そもそも『タイタニック』は冒頭で沈むってネタバレはありますからね」と言うツッコミ待ちの冗談なのに「ワンチャン、船が助かるかもしれないと思って見ていた」と言われてしまった。

実際に『タイタニック』の映画としての作りを考えます。
冒頭でタイタニックが沈む話を提示し、生き残った女性の一人であるローズの回想として「タイタニック号が沈むまでの、ほんの少しの思い出」が語られるの構造です。当時の宣伝で史実のタイタニック号の話が繰り返しされていた事も含め、「観客はタイタニック号が沈んだ事は知っている状態でこの映画を見る」が想定されているセッティングだと思われます。その上で「別にタイタニック号がどう沈んだのか、どの様な救助劇が行われどの程度の被害が出たのかはわかっていない観客」が大多数であると考えて作らえているのでしょう。「タイタニック号が沈むことを知らないまま見て、助かるかもと本当に期待して見る観客」はいるいないで考えれば「いる」はずなんですけど、作り手側は「それがマスではない」として映画作っているはず。

「一大スペクタクルのタイタニック号が沈むその中で、ローズとジャックの運命がどうなるかまではわからない」のが大抵の観客の状態なんすよね。詳しい沈没の経緯を知っていると「おそらくジャックは立場的には助かることなく死亡する」とも思うんですが、ドラマの仕立てがうまく「もしかすると……」と言う気持ちにはさせられていく。でもまあ「どのみちローズのそばにジャックは今はもういない」んですよね。だから「タイタニック号も観客も助かるかもしれない」とは一切ミスリードされていない(観客にはもちろん、タイタニック号の乗客たちにも生き抜いてほしいと思わせる演出が繰り返しなされているのですが)。
作り手としては「船が沈むことを前提にしたイベントをどんどん盛り込んでいける」わけで、これがおそらくあの映画の異常なまでの長さを生んでいる理由の一つなんだろうみたいなところもあります。

ここ最近観ていないので(そもそも前半部分があんまり好みじゃないのもあって)、そのあたりを意識してちょっとチャート作りながら見ると面白いかなみたいな気持ちになりました。でもまあ、わりと今見ると「20世紀……」って凹みそうだな……。

コメント

タイトルとURLをコピーしました