2020/04/27

曇り/1020hPa/体調:よい

今日はちょっと疲れやすいくらいで安定してましたね。あれこれ積極的に出来た感じです。

読んだ、観た。

『アイアン・スカイ第三帝国の逆襲』予想とだいぶ違う映画でしたね。もともとの『アイアン・スカイ』はかなり社会への風刺がストレートで「コメディだから言えるような悪い台詞をがんがん叩き込んでくる」と言う映画だったんですが、今回はそういう要素はApple部分以外は抑えめ。ナチスが恐竜に乗って攻めて来たッ!!が宣伝詐欺なのはちょっといただけないかな。むしろ「聖杯を求めて地下恐竜王国を冒険だ!」がメインストーリーの作品でしたね。ホーリー・グレイル。映画としてはまとまっていて手堅い印象もあります。そうなっているのは、そりゃそういう話の構成になっているのもパロディ要素だからなんですよね。ジョブズがiPhoneの最新機を手に「Siriってなんだよ!」「なんでイヤホンジャックないの?」みたいな顔してるのはさすがに爆笑しちゃう。
スター・ウォーズに似せてある構図とか、マッチョなタフガイと言う要素はほとんど物語に貢献しないとか、そう言うのだいたいわざとですよね? 中生代の恐竜の配置がすっっっっごい適当なんですけど、これも完全にわざと。ナチスの人種思想を徹底的にパロディとするのは前回やったので、今回は最低限しかやらないのかしら。今までの歴史の愚かさはすべてレプリカントのせいだ(あんな理由で戦争を繰り返すほどの愚かさよ!)はかなり強く意識されているかなと思いました。セルフォン競争も戦争なんだよ!(だからジョブズがあんなに悪党として描かれているんだなと言う解釈)(単純にiPhoneが嫌いなんじゃないか?)
伏線をきれいに回収している映画なのはかなり印象的で、90分に無駄なし。ジョブズ教もママも捨てる所が全然なかった。そういう所はすごく評価したいですね。
ところで間違ってASって略したのは僕です。ISだよね……アホを晒してしまった。

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢になってしまった』4話。ゲーム本編開始。子供の時とメンタルが全く変わらないカタリナ強い。カタリナは「とくに秀でた才能はないのだが、悪役令嬢の才能もない」と言うキャラクターなのですよね。そんなカタリナに感化された攻略対象たちの中にも悪は存在しない。結果として作品のメインに悪が不在。それゆえにノンストレスと言うのが味わいになっている感じがあります。そしてついに登場した主人公ちゃん(マリア)が普通にちゃんとかわいいの強いですね。乙女ゲームの主人公ちゃんはこんな感じが多いですよね。ちゃんと個性のある可愛い子。この「周囲の人々がみんなでカタリナを攻略しようと頑張っている様子」、すごくそれらしい。根本的にメタな物語なので「あるある」と思わせる要素を連発してくるの、基本が良く出来てる。しかしカタリナ、なんかいつもお菓子食べてるな(そこが魅力的でもあるんですけど)。

小川一水『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』。かなりよく出来たSF小説です。人類が宇宙に進出し、ガス状惑星にて資源となる生物である昏魚を手にした時代。昏魚漁を行う漁師たちは、その全てが船体そのもの=燃料そのものである全質量可変粘土によって作られた漁船で、ツイスタ(男性の操舵手)とデコンパ(女性の船体制御者)の夫婦で氏族を維持している。「結婚できないデコンパ」のテラの所に、他の氏族からやってきた家出娘……「女性ツイスタ」のダイオードが訪れる。と言う状況から始まっていく「百合小説」なんですよね。この粗筋だけでだいたい分かると思うんですけど、現代日本よりさらに閉塞的で封建的な価値観の場に「非常識な同性愛者が訪れる」と言う話です。必然として性愛も含んだ同性愛が描かれています。「SFなんだから百合を描くならそのための社会を構築していい、むしろ構築したい」と言う気持ちをガンガン感じますね。
テンポの良い会話、そこそこのセクシャルな記述(という感じの事を作者本人がTwitterで言っていたけど、テーマから考えるとすごく上品で驚くくらい。普通もっとめちゃめちゃにエッチなハプニング書いちゃわない?!)、ガッツリした科学描写の塩梅がいいです。突出して刺さる感じは僕にはなかったんですが、トータルでの安定さが強い。あらゆる意味で「まともな話」なんですよ(認められない同性間恋愛を描くために、世界を構築するの、本当に真面目ですよね。SFと言うジャンルにおいて、こう言う感覚、僕はすごいプラス要素だと思います)。書いた人の人格がにじみ出ている。

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