2020/06/28

曇り/1003hPa/体調:普通

月イチで友達との食事と言うのを4ヶ月ぶりにやりました。ただまだ集まれる状況かはあれだったんで、来られない人も多かったですね。

読んだ、観た。

相沢沙呼『MEDIUM霊媒探偵城塚翡翠』大傑作。いいから読め。と言うクラスでは。文章表現、登場人物、ミステリとしてのあれこれ、全部よかったですよ。これが本ミス大賞納得しかないなと言うレベルです。舞台設定やエピソードの方向性に西澤保彦作品を全部買い漁っていた時期の自分を見つけたので、あの辺りが好きな人には推しです。お前らミステリでこういう事されるの大好きだろ? と言うのが全部つめこんであるんですよね。

ネタバレ要素です。
後半の展開はわかって読めた感じです。

そもそも作品のサブタイトルがこの形式でなんで「霊媒探偵」なのか? つまり「翡翠がきちんと推理している可能性を、このタイトルで提示しているのではないか?」と言うメタな読み。

あと序盤のキー、アイスコーヒーです。なんでアイスコーヒーを「急冷式」で淹れると言う話をしているのに、推理でそこに触れなかったのか? と言う疑問ですね。アイスコーヒーをペーパードリップ、氷で冷やしていれると、ちょうど一人分と言うのは淹れづらいんですよね。実際に作中でもそこには被害者が触れている。この段階で「誰かと二人でアイスコーヒーを飲んでいた。深夜に一緒にコーヒーを飲む相手とは親しい相手であるのは明らかで、どうも筋から考えて男性と言う事はないように思える」までは考える事ができたんですよね。ところが香月はその事に気がつかない、水滴の問題もまた「アイスコーヒー愛好者である事が強調されているのだから、結露か氷が関係しているのではないか?」と言う疑いがすぐに頭に浮かびました。そうなると泣き女、怪しいんですよね。

そうなると「これはそもそも翡翠はインチキなのでは?」「香月先生はちょっと探偵役にしては推理できていない人なのでは?」と疑って読まざるを得ない。と言う感じになったんですよね。その頭になっているところでインタールードでの殺人シーン。昨日の夜、フォロワーのスナフキン氏とちょっと西澤保彦の話をしたのもあって、印象として「この殺人鬼はすでに作中登場している人物、ありていに言って香月先生の事なのではないか。もしかすると霊的ななにかで本人には自覚がないとかかもしれないが、かなり疑わしい」と言う気分になりました。
続く黒書館のエピソードではもうプロファイリングが行われるのも、かなり露骨な誘導に感じられました。ただ僕はこの段階では西澤保彦読者としての自分にかなり強く引っ張られていたため、この作中世界には霊が存在しており、霊能力そのものはあるのでは? と言う方向に思考が向いていました。

そういう視点で読んでいくと、はっきり言って翡翠、距離感がおかしいのでは? と言う気持ちになったんですよね。こんなん誰だって「さ、誘われているのでは?」となるわい。しかしここまでこう、作風の世界観的には、そう言う事をするキャラにも見えない。作者がどういう意図でこの距離感を設定しているのか、引っかかってしまったんですよね。こういう感じの違和感の蓄積でだいたいの展開は察せた感じでした。

その上で相沢先生はその上を行ってくれたんで100000億点満点です。

『仮面ライダーゼロワン』36話。アークゼロはかっこよかったし、非人型ヒューマギアをこの場面で出すのも面白かったんですよね。これ暴走の危険もないですし、ぬいぐるみに搭載して売りましょう。不破さんは絶対にぬいぐるみに対して話しかける系ですよ。一方でZAIAは自社の暴走する商品に備えるために、戦闘ツールを売り出すというひどいマッチポンプ。倫理観はどこに行った。副社長に会見させているあたり、自覚はあるんだろうなあと。
明らかに良くなかったのは占い師ヒューマギアの描写ですね。これ、さすがに職業差別でしょ。おそらくゼロワンのヒューマギアは「日本人の各職業のステレオタイプ」を描いているんだろうと思います。これは序盤はよく機能していたし、なんなら「職業人としては逸した行為をとる人間と、そうではないヒューマギア」を描いた五番勝負中盤までは機能してたと思います。でもチェケラについては完全に言い逃れできなかったし、今回もよくないよ。他人の特徴を笑い者にするのはよくない。子供向け番組だからこそここを徹底して欲しい。序盤は徹底できていたんだから。五番勝負で人間の悪い職業人を描くところからその筋が崩れたのかなと感じてます。消防士回みたいに両方カッコいいという方向性で頑張ってほしかったなあ。

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