2020/12/08

晴れ/1023hPa/体調:よい

もともと友人と映画に行く約束で、どうしようかだいぶ悩んだのですが「とにかく、趣味の話をできる相手に飢えている」と言う事態にやばみを感じていたので付き合ってもらいました。

はちゅっと2を回せました。400円でフトアゴ来てくれたよ! 別の友人がわざわざ「〇〇に設置してあったよ~」ってメールくれて、映画館からの帰り道に受信して「うっ」となってしまったんですよ。そしたら友人が「いいよ、〇〇に行こう。こう言うのいつまでもあるものじゃないし」って言ってくれて、そのまま直行しました。すごく嬉しかった。

フトアゴ主役の絵本も発売中……マジにカワイイのでみんなみてくれ……。

魔女がいっぱい

誰だこの映画をおしゃれ系かわいい映画みたいに宣伝しようとしたやつ。これ小学生大喜び金曜ロードショーでオタク大興奮、ホラー仕立ての児童向けアクションコメディ、近いジャンルの映画は『ピーターラビット』やディズニーのドタバタ喜劇系統、この映画を好きそうな層が好きそうな映画、デル・トロのホラーやデップーやキングスマン……とかその手の映画じゃん……。

なにせ「『BTTF』のロバート・ゼメキス」が「『パシフィック・リム』のデル・トロを脚本」にむかえ、「『チャーリーとチョコレート工場』の原作者の作品」を「ヴィラン役としてアン・ハサウェイ」を起用して制作された作品なんですよ。どうして感動的なファンタジー映画みたいな方向の宣伝を……? これを見てと人に勧めるなら、一番誠実な言い方は「あのデル・トロが脚本書いてる児童小説の実写映画だよ、見たいでしょ?」だし、これで興味を持った人が行くならハズレ引いた気分にはならないと思いますね。

公式情報からはどんな映画なのかさっぱりわからないと言う重大な欠陥があるので、ネタバレをある程度やりながらどういう映画なのか解説しますね。

最初は主人公である「ぼく」(作中ではむしろ坊やと呼ばれている印象が強い)の回想が始まる。8歳で両親を失った「ぼく」は、民間療法や伝承に詳しい「おばあちゃん」に引き取られます。序盤の序盤は、母親が幼児期過ごした部屋(扉に書かれたPrincessの文字が、どれだけ彼女が愛されて育ったのかを物語る)で呆然と過ごす「ぼく」の姿をカメラが写す。1960年代アメリカの8歳の黒人少年が、チョコレートもフライドチキンも口にしない程に落ちこんでいる姿はかなり胸に迫るものがある。

そんな彼の心をこじ開けていく、おばあちゃん。優しくて大きい祖母。少し不思議めいたところがあるけれども、一緒にテレビを見てレコードを聞き、手をとって踊ってくれる優しい彼女との生活で、闇の中から抜け出した「ぼく」の前に現れる驚異。それが『魔女』なのです。この世界の魔女は「人間に擬態する悪魔の一種」なのでしょう。不揃いな手足を手袋や靴で覆い隠し、爛れた禿頭をカツラで隠した、豪奢な女性たち。魔女の一人が現れた事をさっしたおばあちゃんは「ぼく」を連れて豪華ホテルへと逃げだします。

しかしそこはなんと、児童福祉団体を装った魔女の集会場だったのです! 現れる大魔女。
魔女は子供を嫌い憎む。ただ、それだけの理由で、全ての子供を消し去るべく魔法薬「ネズミニナール」を大量生産、すべての子供をネズミにする陰謀を目論んでいたのです。その手は「ぼく」にものび……。

と言う感じの話なんです。つまりまあ、まず主演っぽく一番大きくクレジットされている大魔女(アン・ハサウェイ)の出番は中盤からなんですよね!! 主役は「ぼく」とおばあちゃんだよ!!!!

全編に渡ってとにかく悪い印象のシーンが全然なくて、最初から最後まで楽しい。娯楽! 子供向け! しっとりしたシーン、ホラーめいたシーン、ネズミになった「ぼく」が駆け回るアクションシーン、全部がちゃんとしている「あたりの映画」です。

ロバート・ゼメキスはやはり抜群にうまい見せ方をする人で、ハートフル部分はなにをすれば観客があっという間にハートフルになってくれるのかを知り尽くしている感じがします。その後の「都合よくすべて陰謀を説明してくれる悪役」「わりとどうでもいいような場面ですら、緊張感ある映像に仕立ててしまう」がもう完全にゼメキスの映画なんですよね……し、親切! 思えばこの「わりとどうでもいい場面を面白く撮れる」児童向け作品と相性がよい特徴ですよね。ネズミになってしまった「ぼく」がホテルのあちこちを駆け回り、ギリギリのピンチを切り抜けるところも彼の映画らしいです。

デル・トロが脚本に参加しているというのもかなり影響があるんじゃないかなと思います。児童文学の持つ「ホラー」の側面がきっちり演出されているのが、デル・トロの仕事と言う気がします。魔女たちの動きがかなりちゃんと怖い(人間のそれではない! と言う凄みがずっと画面にあるんですよ)の、印象的です。僕は「児童向けホラー文学作品のホラー要素は、怪獣映画のホラー要素と同じくらい重大なファクタである」と思っているので、すごく印象が良かったですね! あとおばあちゃん役の方も『シェイプ・オブ・ウォーター』で重要人物を演じていた方なんでデル・トロ推薦だったりするのかも。

そしてアン・ハサウェイの存在感が抜群というのも触れておくべきでしょう。
不揃いな鉤爪と禿頭と言うビジュアル、すべての台詞が嗄れた声でありながら、常に「美しく恐ろしい女」と言う印象を絶やすことない。
悪役として完全に近い仕事でしたね。

あとは「ぼく」の友人となるデイジーやブルーノもいい存在感。


ちなみに原作小説、今日本で入手するならこのあたりしかないみたい。もう全部絶版と言う感じ。

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