2022/10/22

豪雨落雷/1014hPa/体調:悪め

フェイトさんのために石を集める以外の活動をする余力がなかったが、けっこう読書は進んだ。

読んだ、観た。

今週動きもある回なのにいつもよりかなり印象がよくて、これもしかして「泥人形を動かすリソースが足りてない」のでは。あと領域もか? あそこらへんを合成して画面にするノウハウと体力がスタジオに存在しない?

東雲半月の話を聞いて、夕日がなにを思ったのかを誰も言葉にはしないんですよね。大人になる事の難しさを語る時に、あえて大人をだして本人を壁にはしないで描くという作劇はかなり珍しい気がします。

たぶん惑星のさみだれと言う物語の魅力のかなりの部分が、こうした切り口にある気がするんですよね。

白浜鴎『とんがり帽子のアトリエ』11巻

今世界一美しく絶望を絵にする漫画、とんがり帽子のアトリエ。スランプ状態のココに対するアガットの振る舞い、二人の笑顔。「オルーギオ先生の魔法に見られるただ美しく便利なだけではない、力のあり方」「ココの魔法に足りなかったものはなんなのかのアンサー」がすごく印象的ですよね。白浜先生は魔法使いをエンジニアとしてとらえているんだなと思った。

ユーザーインターフェース、デザイン、エンジニアリングを全部やる。『魔法の道具』は目を引いて手にとってもらえる、使いやすく使いたくなる、安全側に念頭においたものであるあたりを全部考慮する必要があり、魔法使いは高度で専門的なエンジニアである。そしてエンジニアだからこそ「安全側」の重要性を知っているんだなと、納得感がとても高かった。

エンジニアならそりゃ危険側の設計である禁忌魔法は避けるよな……。

『本好きの下剋上』9巻

割りとアクションもあったんですけど、今巻で一番おもしろいのは人身売買の現場に現代日本人としての記憶を持つマインが関わるところですね!

マイン、今まで花捧げはわりと仕方がないことだと思っていたんですけど、これは「女性が性行為を伴う産業に半強制的に関わることに諦めがある」のかなと解釈がかわりました。この感覚だととらえたほうが現代日本人っぽいね。その上で人身売買は無条件に悪いことだと思っていた。

しかし人身、とくに孤児の子供はコミュニティにとっては経済資源である。単純労働に従事させ、単純労働をする大人になってもらうための存在として扱われているし、それができないなら売却する。ところが現代にはこの構図を悪とできる要素として『教育』がある。教育を受ける環境があれば、子供は自分で職業を選択できるし多様な可能性を持つことができる。「どうせ単純労働者にしかならない」と言う前提が覆る。

奇しくもこれはマインがその効果は意図せずにやっていることなんですよね。マインが育てた孤児がもし興味が生まれたからで鉄細工の工房なんかに就職したら、設計図が読めるし引ける事務作業できる貴族相手の対応が可能みたいな人材になれる。これが教育であります。

教育は今回のメイントピックなので、教育から逃げる立場の兄も散々な目に遭う。コンセプトが絞ってあってよかったですね。いや、あの程度しか叱られてないのかお前と思ったけど。フェルディナンド様子供に甘いでしょ。普通叩くだけではすまされないよ。教育されていないものを権力者に据える、いろんな意味で最悪だからなあ。

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